「生理の貧困」から政治が見える

明治生まれの女性に「生理の時はどうしてた?」と聞いたことがあります。「ゴムバンド」を使っていたとの答え。黒いゴムの上に脱脂綿を置いて使ったと。
日本では明治末期以降、月経バンドが売り出されました。製糸工場などの女工が福利厚生として共同購入で格安に購入できたのは、生理中でも女工が効率よく働けるようにとの資本者側の思惑があったと言われています。そんな時代を経て現代を生きる私たちは、生理の問題を決してタブーにせず「生理の尊厳」を求めて声を上げてきました。
世界で初めて生理用品への課税を廃止したのはケニアでした。この動きは欧米などにも広がり、スコットランドで学校での無償配布、2020年には必要な人全てに生理用品の無償配布がはじまりました。月経時に清潔な生理用品が使え、安心して交換できる衛生的なトイレや水、プライバシーが確保される空間や、使用済みの生理用品を衛生的に捨てられる環境が確保される条件や知識があることを「月経衛生対処」と呼びます。この概念に基づいて、ウガンダではナプキンの提供はもちろん、経血で制服が汚れた時には着替えや下着も用意されるように。
日本でもコロナ禍を契機に「生理の貧困」を政治的課題に押し上げてきました。生理用品の購入や入手に困った時、8割以上がトイレットペーパーで代用しています。不安な気持ちは皆同じ。「個人的なことは政治的なこと」と手を繋ぎ立ち向かう連帯をさらに強め進みます。
(6月8日付四国各県「民報」に掲載)