国民の苦難―背景を見抜く力が大事
四国を駆け巡る「四国新緑キャラバン」が続いています。各地で切実な暮らしや経営の声をお聞きしています。
介護現場の皆さんとの懇談では、介護報酬引き下げでヘルパーステーションの4月の事業収入は、前月と比べて件数増にもかかわらず16万円以上の減。「経営が安定している」が報酬引き下げの理由とされたが、極めて不安定な状況が長年続いている。ヘルパーの高齢化、ヘルパー人材が確保できない、80才代のヘルパーさんが紙おむつを履いて仕事をしているという現実も。ヘルパー養成講座を受けるにはお金も期間もかかる。物価高騰でとりわけガソリン代の負担がこたえる。結局は利用者さんの命に関わることになっていく。
翌日は教育現場から教員不足の深刻さが出された。教師のなり手がいない。病気で休んだ先生の代替がみつからず、やっと決まった先生の年齢は82才だった。「定額働かせ放題」の教育現場の現実が、子どもたちの学びに直接大きな影響を及ぼす。
農業者さんとも懇談。傷がつかないようにと、ジャガイモを一つひとつ優しく撫でながら出荷作業をしているおばあちゃんは「もうちょっと値が良かったらなぁ」と。農業基本法改定で自給率にも責任を持たない政治。
こうやって命を削らせて「戦争する国」への道へ繋げていく。
大学時代の恩師がいつも言っていた言葉を思い出す。「事象の背景には、必ずそれを作り出している原因がある。大事なのは背景を見抜く力を持つことだ」。
(6月2日付四国各県「民報」に掲載)