自民党政治を変えることが農業を守る―シンポで呼びかけ

高知県南国市で16日、県中央部に位置する香長(かちょう)平野のこれからの農業を考えるシンポジウム(日本共産覚の岡田芳秀県議事務所主催)が開かれました。会場いっぱいの91人が参加し、メモを取るなどしてパネリストの発言に熱心に目を傾けました。
 米農家でもある岡田県議は、農業の担い手が減って農家の高齢化が進み、この20年でピーク時の2016年は276人だった新規就農者も年間214人(22年)に落ち込み、耕作面積の減少に歯止めがかからない高知県の農業の厳しい状況を報告。「米をつくっても飯が食えないという大変な現状の中、農家はよい米をつくろうと努力している。いま頑張っている農家をしっかり応援していくことが大事だ」とのべました。
 白川よう子衆院四国比例候補は、かつて県議を務めた香川県の状況を紹介。農地の7割を兼業農家が支えており、県は兼業農家を支援し農地の荒廃を防ぐ方向に来年一歩を踏み出すと報告しました。AIなどで生産性を上げれば農家の減少を乗り切っていけるとする自民党農政を厳しく批判。「国民にはひどい政治を押しっけながら、自分たちはパーティーの裏金で私腹を肥やす―この白民党政治を変えることが農業を守る近道だ」と力説しました。
 ニラ農家の山本明紀さん(55)は、肥料の価格の高騰などで「自分の食べるご飯を削って、ニラに肥料をやらないといけない」と厳しい状況を報告。「若い人に農業をようすすめん」と言いました。「(国や県の農政には)今まであくせく頑張ってきた小さな農家の話がない」とのべ、「おじいちゃん、おばあちゃんが一生懸命やっている農業を見捨てないでほしい」と訴えました。
 米と野菜をつくる尾立(おりゅう)正人さん(75)は地元でも、団塊の世代の農家がだんだんとリタイアし、不耕作農地が20%以上になっていると報告。▼跡継ぎ、担い手がいない▼営農組織の立ち上げも難しい▼農場整備の停滞―などを課題としてあげました。
 小松泰信岡山大学名誉教授は、軍事予算が大きく増やされる一方で農業予算を減らす農政の結果、食料自給率が38%にまで低下していると指摘。「この国は、人間の基礎代謝すら自国でまかなえていない。はっきり言って飢餓状態だ」と告発しました。「日本をつぶすのはミサイルなんかいらない、兵糧攻めにしたらよい。だからミサイル防衛はいらない、その予算を自給率向上に回せばよい」とのべました。
 小松氏は、食料農業農村基本法の考え方に環境問題が全面に出ていることを受けて今後の方向を語りました。学校給食の公共調達で有機米、有機野菜の振興の一歩を進める、農業に興味を持った人にはとにかくやってもらうという視点で、半分農業、半分違う仕事という形で広げることを提案。「どんな切り口からでも、身近なところからぜひ食と農を意識する取り組みをやっていただきたい」と呼びかけました。

   (3月21日付「しんぶん赤旗」日刊紙・西日本のページから)