おっちゃん 学生支援法

「おっちゃん」とは何十年ぶりの再会だろう?その人は相変わらず凛としていて、もうすぐ90歳ときいて驚いた。今も現役で理髪店を営んでいる。

父親のDVから逃げた母と私の生活。理容師の母にとって右腕を骨折させられたことは生活の糧を奪われたも同じだった。30年近くこの仕事一筋で生計をたててきた母が、「掃除からでも」と散髪屋さんの仕事を探し歩いて、おっちゃん夫婦と巡り逢った。おっちゃんはユーモアに溢れ、理知的な考え方を持つ人だということが感じられ、信頼できる大人として大好きだった。

「うちの子の家庭教師をしてくれんで?」。おっちゃんは、当時高校生の私に言ってくれた。進学校に進んだものの、家を転々とする毎日で落ち着いて勉強する暇もない私にできるだろうかと悩んだが、おっちゃんの心配りに気付き、引き受けることになった。

思えば、大学進学の夢を諦めずにいられたのも、母や姉はもちろん、学ぶことを諦めてはダメだと励ましてくれたおっちゃんや、奨学金の申請に必死になって取り組んでくれた先生のおかげだったと、しみじみ思う。

今の時期、街頭演説をしていると受験生らしき若者に出会うことが多い。自らの経験からも「若い皆さんが学ぶことを諦めるような社会でいいはずがない」という言葉に自然と力ががこもってしまう。野党で国会に提出している「学生支援法案」を実現させるためにも、四国ブロックから議席を必ず。

2021年3月22日 よう子記