春闘点描 NTT 基本賃金700円→2000円増へ
JMITU通信産業本部 “成果で格差”追及

NTTは毎年「大幅賃上げ」をアピールしながら、実態は基本賃金700円増という超低額回答を続けていましたが、JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)通信産業本部の闘いで職場世論を広げ、今年の回答は2000円への上積みを実現しました。(田代正則)
NTTは表向き、2024年春闘で「ベア1万1000円」、25年春闘で「1万2000円の満額」などと発表してきました。
「満額」でも年収減った
ところが、通信本部のアンケートでは25年春闘で年収が「減った」という回答が正社員の35・7%にのぼります。「変わらない」という39・5%とあわせて75・2%。実に、正社員の4人に3人が年収が増えていません。さらに派遣・契約社員では、77・4%が増えていないとの結果でした。
NTTのベアの内訳をみると、基本賃金の引き上げはわずか700円。あとは成果手当などで格差配分するため、大半の労働者はほとんど賃上げされませんでした。この基本賃金700円さえ、「ジョブ型」制度が導入された23年から一律引き上げをやめ、職位によって450~1060円の平均引き上げに改悪されました。
通信本部は、NTTの賃上げのごまかしを告発し、職場にも「成果に左右されないグレード賃金(基本賃金)への配分を増やしてほしい」と声が広がりました。
今春闘の要求では、基本給で月額4万円以上の賃上げを掲げました。派遣・契約の時給を400円以上引き上げ、すべての非正規雇用労働者に時給1700円以上、物価高騰の生活援助一時金24万円を求めています。
通信本部は12日、会社が「慎重に検討している」などと回答を示さないことに対し、ストライキを実施。宇佐美俊一委員長は「NTTの営業利益は過去最高を更新し、内部留保は昨年度から5071億円増やし10兆9726億円にのぼる。その5・16%で4万円ベアなどの要求は実現できる」と強調しました。
18日の会社回答で、12年ぶりに基本賃金引き上げを平均2000円(1290~3051円)に増やしました。一歩ですが要求を前進させました。
災害対策の体制拡充を
もう一つ、NTTで大きな課題が「AI(人工知能)リストラ」やNTT法廃止を阻止して、国民のための情報通信を守ることです。
NTTは、流行のAIを使えば1万人程度の業務を置き換えられるなどといい、「AIリストラ」を狙っています。通信本部は、災害対策のための体制拡充こそ求められていると反対し、AI技術は労働時間の短縮に活用すべきだと主張しています。
災害対策は切実です。24年に起こった能登半島地震では、携帯電話の応急復旧に2週間以上かかりました。NTT法は「国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保」とユニバーサルサービスの責務を定め、災害対策も重要な役割となっています。通信本部は、携帯電話もユニバーサルサービスに加えるべきだと訴えています。
これに対し、自民党政権は大軍拡の財源をつくるためNTT法廃止とNTT株完全売却で、ユニバーサルサービスそのものを投げ捨てようと狙っています。
通信主権の確保や災害対策の強化を求める国民世論と通信本部などの運動によって、昨年、いったんはNTT法存続の閣議決定が行われました。しかし、軍拡に前のめりな高市早苗政権が発足し、閣僚指示書で「NTT法の廃止を含め、制度の在り方について検討を進める」と総務大臣に命じ、蒸し返そうとしています。
2月25日、JMITUの春闘中央行動で、通信本部は日本共産党の白川容子参院議員に「国民の情報通信を守るためNTT法を廃止しないことを求める請願署名」4617人分を手渡し、総務省要請を行いました。国民のための情報通信を守り、それを支える労働者の処遇改善をすすめる闘いは続きます。
(3月20日付「しんぶん赤旗」日刊紙 国民運動のページから)
