長生炭鉱事故の遺骨問題

長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会 上田慶司理事に聞く

日本政府の責任問われる

 戦時中に旧長生炭鉱(山口県宇部市)で発生した水没事故では、朝鮮半島から強制動員された136人を含む183人が犠牲になりました。昨年8月に遺骨が発見されても、いまだ政府は遺骨収容に協力していません。政府との交渉の前面に立ってきた「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」理事の上田慶司さんに聞きました。(高塚風太)

 ―昨年8月に遺骨が発見されてもなお、政府は遺骨収容に消極的です。

 昨年12月の政府交渉でも、厚生労働省は遺骨収容は「危険」で「調査の実務を超える」として関与に消極的でした。厚労省の「調査の実務」は寺院などにある「見える遺骨」が対象で、海底にある遺骨を探すことは「調査の実務」を超えており、自分たちには収容の責任はないと考えているのだと思います。

 ―厚労省は遺骨収容をしない理由を並べ立てますが、論理の破綻が指摘されています。

 一例として、厚労省は安全性への懸念を指摘しながら、なぜ危険なのかという具体的な理由を示せていません。一般論を並べるだけで、「今遺骨を収容している場所には亀裂が入っているのか」と具体的に問うと「わからない」と言い、「わからないなら調査を」と訴えても消極的です。昨年12月の対政府交渉で、共産党の田村貴昭衆院議員が「危険がなくなるよう整備するのが厚労省の仕事。自らの責任を放棄している」と指摘しました。白川容子参院議員も「厚労省は現地に行っていない。それでは何もわからない」と指摘してくれました。国会議員の方々にはこれからも政府を追及していただくことを期待しています。

 ―局面を前に進めるために政治に求めることは。

 厚労省のように「自分たちの仕事を超えている」と公然と言うのでは議論になりません。日本政府の責任が問われる問題です。いま韓国政府や国会議員の皆さんは積極的に動いてくれています。DNA鑑定への関与や遺骨収容の危険性を減らすための支援を要求しています。韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が来週来日して高市早苗首相と首脳会談を行いますが、長生炭鉱の遺骨問題が話題になった場合、必ず政治の決断が求められます。

 ―2月には遺骨収容プロジェクトが控えています。今後の展望は。

 今年は必ず遺骨を故郷・遺族のもとへ返す年にしなければなりません。長生炭鉱の遺骨収容は市民の運動として成り立ってきました。必ず「刻む会」と市民が遺骨返還を主導しなければならないと思っています。2月の潜水調査では、ダイバーたちが新しい坑道や遺骨への新たなルートを見つける可能性もあります。何としても遺骨を返すというわれわれの決意と行動を、ぜひ支援していただきたいのです。

(1月8日付「しんぶん赤旗」日刊紙 2面から)