子どもは守られるだけでなく、権利の主体

 暑い夏、今年も四万十市下田の子どもたちが上京しました。高知県四万十市の旧下田中学校があった高台に、「安全に学べる小規模の小中一貫校」の開校をと活動を続けてきた子どもたちが、7月22日に文部科学省とこども家庭庁と面談し、私と仁比聡平参議院議員も参加しました。
 子どもたちが声をあげ、地域の皆さんと力を合わせることによって、進められようとしていた看護学校誘致はストップし、下田小学校と保育所は高台の旧中学校舎に移転することになりました。これはすごいことですが、中学校は今年の春、子どもたちの思いとは裏腹に休校となり、市は下田中学校の再開を認めようとせず、「小中一貫校として保育所といっしょに高台へ!」との子どもたちの願いは完全実現していません。その上、旧中学校舎は看護学校誘致のために改装も進めていたにもかかわらず、高台移転は3年後の予定です。
 この運動を通して子どもたちは、喜びもあったけれど傷つく事もたくさん経験しました。子どもの意見だからと当事者扱いされず、意見を表明する場もなく勝手に決められてきました。参加の高校生が語った「子どもたちは意見を言っても、決めるのは大人」という言葉が、私の胸に刺さりました。
 日本政府が国連子どもの権利柔約を批准してから今年で30年。「子どもは守られるだけでなく、権利の主体である」という権利条約の1番大事なポイントを、私は下田の子どもたちから教えられ続けています。

(8月11日付各県「民報」に掲載)