ゴジラ映画から核兵器廃絶へ

 私が育った町には、「貞光劇場」という映画館がありました。夏休みなどは子ども向けに『ゴジラ』や『ガメラ』などの「怪獣映画3本立て上映」があり、私は姉と一緒に朝から夕方まで映画漬け状態。この映画館はかつての芝居小屋がそのまま映画館になっていたので、2階の桟敷きには畳が敷いてあり、追加料金10円を払えば一日中ゴロゴロしながら映画を見ることができました。私はこの「貞光劇場」の雰囲気が大好きで、映画監督の山田洋次さんが気に入ってくれたと聞いた時には、とても嬉しかったものです。

 劇場もさることながら、ゴジラやガメラなどの怪獣ものが大好きだった私は、あの頃の怪獣映画は全て観尽くしていると思います。とりわけ怖さの中にも優しさが滲み出ていたゴジラに、小さいながらも何か哀愁の様なものを感じていました。ゴジラは1954年が第1作で、今年で70周年となります。同年の第五福竜丸事件を背景に、反核や文明批判をテーマにした映画でもあります。最新作『ゴジラ-1.0』でも、1946年のビキニ環礁で行われた米軍による核実験「クロスロード作戦」でゴジラが被曝し、細胞内エラーの発生で巨大化するストーリーになっています。 

 第1作の脚本を書いた村田武雄さんは、「あのゴジラが最後の一匹とは思えない。もし水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類がまた世界のどこかへ現れてくるかもしれない」と語っています。繰り返してはなりません。

 (5月12日付各県「民報」に掲載)

5月4日、近所の栗林公園で和船に乗る