長生炭鉱 遺骨のDNA鑑定を

刻む会が政府と意見交換

 戦時中に旧長生炭鉱(山口県宇部市)で発生した水没事故で、強制動員された朝鮮人労働者を含む犠牲者の遺骨収集を行っている「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会(刻む会)」は21日、国会内で、発見された人骨の身元確認のため遺族のDNA型データを警察庁に渡すとともに、DNA鑑定の実施について政府と意見交換を行いました。

 刻む会は、DNA鑑定を行う担当部署や実施期限について質問。警察庁の担当者は「DNA鑑定はやることにはなる」と述べましたが、日韓での意思疎通の途中だとして、鑑定を日本政府が行うかも含め「決まっていない」などと答えました。

 同会の井上洋子共同代表は、183人の犠牲者が眠る現場に日本政府はこれまで一度も訪れていないと批判。「せめて現場に来て犠牲者への誠意を示すべきだ」と涙をこらえながら訴えました。来年2月の追悼式への参加について問われた外務省と警察庁の担当者は「持ち帰って検討する」と答え、厚生労働省の担当者は「上司に伝える」と述べるにとどまりました。

 井上氏は、遺骨発見から2カ月が経過しても日本政府がDNA鑑定を行うかさえ決まっていないなど「真剣に遺族の立場にたっておらず、非常に憤りを感じる」と発言。今年12月19日までに日本政府が鑑定結果を示すなどの対応を行わない場合、同会が主体的に鑑定を実施していくと述べました。

 日本共産党の小池晃書記局長は「遺骨の収容のため民間がこれだけ努力している」と強調。遺骨を遺族に返還することは政府の方針でもあるはずだとして遺骨の鑑定や収容に踏み出すよう求めました。同党の白川容子参院議員、藤本一規山口県議も参加しました。

(10月24日付「しんぶん赤旗」日刊紙 社会面から)