保険外しで負担増の仕組み認められない
参院厚労委 健康保険法等改定案可決 白川議員が反対討論

保険給付の範囲を縮小する健康保険法等改定案が28日の参院厚生労働委員会で、自民、日本維新の会、国民民主、参政の各党の賛成多数で可決しました。日本共産党、立憲民主党、公明党、れいわ新選組は反対。日本共産党の白川容子議員は反対討論にたちました。29日の参院本会議での成立が狙われています。(反対討論要旨6面)
同案は、医師が処方する医療用医薬品のうち市販薬と同等の効能を持つ「OTC類似薬」の薬剤費を一部保険外とし、患者に負担を押しつける仕組みである「一部保険外療養」の新設を柱としています。政府は来年3月からOTC類似薬のうち77成分約1100品目を対象に、薬剤費の25%を保険給付外とすることを狙っています。
日本共産党の辰巳孝太郎衆院議員、白川参院議員のこの間の追及によって、法律の規定では「一部保険外療養」の対象は、OTC類似薬をはじめとした薬剤だけでなく、診察や処置などの全ての療養が含まれることが明らかになりました。他の野党からも追及を受けた厚労省は、28日の質疑で、「『一部保険外療養』は薬剤のみを対象とする」との解釈を示しました。
白川氏は同日の質疑で、高市早苗首相が参院本会議(13日)で「一部保険外療養」の対象は薬剤を念頭に置いたものと述べたことに言及し、「条文上は薬剤に限らず、保険外しができる仕組み」だと批判。「立法事実から逸脱しているのではないか」と迫りました。
高市首相は、与党内や厚労省の審議会でOTC類似薬を念頭に議論を行ってきた経緯から、「薬剤のみを対象とする」との解釈を示し、「指摘は当たらない」と答弁。条文上で薬剤以外を含んでいる理由を説明できませんでした。
白川氏は「薬剤のみが対象との解釈を示したのだから、『一部保険外療養』の対象は薬剤以外の療養を含むことができないよう条文上明確に規定するべきだ」と追及。高市首相は「条文を見直す考えはない」と開き直りました。
白川氏は政府の裁量で、給付する必要性が低いと判断して自己負担を課すことができる「一部保険外療養」は認められないと強調しました。
(5月29日付「しんぶん赤旗」日刊紙 1面から)
健康保険法等改定案
参院厚労委 白川議員の反対討論(要旨)
日本共産党の白川容子議員が28日の参院厚生労働委員会で行った、健康保険法等改定案に対する反対討論の要旨は次の通りです。
法案は、給付と負担を見直すことが重要だとして提出されましたが、公費を抑制するために、その分の個人の窓口負担に転嫁できる仕組みづくりです。
反対する理由の第一は、療養の一部を保険から外す「一部保険外療養」を創設するからです。「一部保険外療養」は、有効性・安全性が確認されたものであっても、保険外の自己負担を求められるようにするものです。OTC類似薬77成分、1100品目を保険給付から外し、4分の1の追加負担を求めるとしていますが、月額約33円の保険料負担軽減の一方で、3割負担の方では現在の1・5倍の負担増となります。低所得者を中心に、費用負担の重さから、受診間隔を必要以上に空けたり薬を節約したりするなど、必要な医療を妨げ、国民の健康を犠牲にするものです。来年度中に、保険からの除外割合や対象成分の拡大の検討が規定路線となっていることも重大です。
さらに問題なのは、「一部保険外療養」について、OTC類似薬にとどまらない無限定な規定となっていることです。対象となる療養が、薬以外の診察、処置、入院、手術などが排除されない規定に、また、一部保険外といいながら一連の療養から一部の療養を取り出して、それを全額保険給付から外すこともできる規定になっています。しかも、厚労省が「給付する必要性が低い」と判断しさえすれば、保険外しの対象や金額は、国会に諮らず決定することができます。必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保するという国民皆保険制度の根幹を揺るがしかねません。
第二に、協会けんぽの準備金増加を理由として、2015年度から実施されている国庫補助の特例減額の時限的措置を設け、3年間に限ってさらに毎年500億円を削ることになっているからです。
財政再建のために保険料率を引き上げた経過に照らしても、準備金が積み上がっているのであれば、引き下げにこそ使うべきです。
なお、高額療養費制度で、長期療養者の家計への影響を考慮すると規定していますが、そもそも患者団体などの強い批判を浴びながら、月額負担上限額の引き上げを8月から強行しようとしていることは到底認められません。
(5月29日付「しんぶん赤旗」日刊紙 経済・政治総合面から)
